RX1950PRO-A256HW / 玄人志向
Graphic Acceralation Chip:RADEON X1950PRO (RV570:コアクロック575MHz) / ATi Technologies
RAM:2.8ns GDDR3-SDRAM 256MB(1380MHz 256bit)
Port:AGP (32bit 66MHz 8x 1.5V)
動作確認マシン:PC/AT互換機(S2885ANRF Thunder K8W,HDAMD)
2006年12月にデビューした、RADEON X1950PRO搭載AGP対応カード。
AGP対応カードでありながらPCI-Express 6ピン補助電源入力コネクタで給電されるなど、いかにも過渡期にデビューしたカードらしい仕様となっているが、HDAMDとの組み合わせでは同一CPU・同一メモリ構成の下でS2895A2NRF Thunder K8WE+WinFast PX7800 GTX TDH MyVIVOを上回る描画性能を発揮するなど、Direct X 9.0対応のAGPグラフィックカードとしては極限に近い性能を発揮した。
これは恐らく3D描画で重要なメモリ転送性能の差がものを言った(GeForce 7800GTXは1200MHz 256bit)とも見えるが、開発時期に1年半の時間差はあるとはいえ、発売時世界最速グラフィックカードであった機種、それもPCI-Express版を凌駕する性能をAGP版のこの機種が発揮したことに絶句した記憶がある。
RADEON X1xx0シリーズはDirect X 9.0cに対応するプログラマブルシェーダー導入前のATI最後のグラフィックチップシリーズであり、前世代のX8x0シリーズがShader Model 3.0(SM 3.0)やSLIのサポートで大成功したGeForce 6シリーズに事実上完敗したことを受けて、メモリインターフェイスの大幅改変(クロスバースイッチの採用を止め、リングバスへ変更など)やシェーダーのマルチスレッド化を重視して開発されたものである。
このシリーズの初代となるR520(RADEON X1800など)が開発されていた当時、既にATIはXBOX360用GPUの開発を進めており、そちらではより革新的なユニファイドシェーダーを採用していたが、様々な事情からこちらでは採用せず、従来型の固定的なピクセルシェーダーとバーテックスシェーダーを内蔵するアーキテクチャが採用されている。
実はRADEON X1950PROがデビューした2006年の11月には、ライバルnVIDIAがユニファイドシェーダーを採用しDirect X 10準拠を謳う新GPU、GeForce 8800シリーズ(G80)を発表しており、その凄まじいばかりの革新的なアーキテクチャと圧倒的な性能で市場を席巻していたのだが、それはGeForce 7シリーズさえ満足に高速モデルが提供されなかった(公式にはGeForce 7800GSあるいは7600GTが最速となる)AGP対応カードを求めるユーザーには関係のない話で、またPCI-Express版でも要求される電源容量の過大さなどからG80は非常に敷居が高く、その点で充分にこなれた価格で充分以上の性能を発揮する、このRADEON X1950PROにはPCI-Express・AGPの双方において大きな存在価値があったのである。
なお、ATIのAGPグラフィックカードはRADEON 9800XTの途中からAGP 8x専用となっており、これに対応しないAGP 4xのみ、あるいはAGP 2x/4xサポートのマザーボードに挿すとチップが焼損してしまう危険性が高い(実際に筆者はRADEON X1300搭載AGPカードをこれで喪った)。
よって、これらの規格各種に対応するAGPスロットを持つマザーボードを混用しておられる方は、特に注意してこのカードを取り扱う必要があることを申し添えておく。
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