ADAPTEC SCSI CARD 29320-R (ASC-29320-R) / Adaptec


インターフェイス:Ultra 320 SCSI (68pin LVD 320MB/s) + Ultra Wide SCSI (68pin SE 40MB/s) / Ultra SCSI (50pin SE 20MB/s)

転送モード:Bus Master

Bus:PCI-X 1.0 (32/64bit 33/66/100/133MHz 3.3/5V)

SCSIコントローラ:AIC-7902 / Adaptec

対応機種:PC/AT互換機

動作確認マザーボード:HDAMCS2885ANRF-T Thunder K8WS2895A2NRF Thunder K8WE


 Adaptec社製Ultra 320 SCSI対応アダプタカードシリーズの一つ。

 シリーズを構成する姉妹機種としては、上位の2ch Ultra 320 SCSIカードであるASC-39320シリーズ(外部コネクタの仕様差で幾つかバリエーションがあり、リテール販売品に限れば外部2ch・内部1chでRAID非対応BIOS搭載のASC-39320D、そのRAID対応BIOS搭載版のASC-39320D-R、内部2ch+外部1chでRAID対応のASC-39320-R、そして内外共に2chのASC-39320A-Rの4種類の製品が存在する)とロープロファイル対応化されたASC-29320LP-R、それに後継となるASC-29320A-RとASC-29320ALP-Rが存在する。

 マザーボードのHDAMCへの移行時に33MHz駆動専用のSYM21040-33では充分性能が発揮できなかった為に購入した。

 Adaptec製SCSIカードでは伝統的に29xx型番の機種は1chのSCSIコントローラを搭載してきたのだが、このカードでは例外的に上位に当たるASC-39320と同じ2chのコントローラを搭載している。

 身も蓋も無い言い方をしてしまえば。このカードは上位のASC-39320-Rと同一の基板(但しそちらでは基板上の50ピンコネクタが省略されてパターンだけになっている)を、BIOSに制限をかけてCh.Aをシングルエンド動作専用として29320扱いとしただけの代物であり、恐らくこの構成については開発時点でのPCI-X対応Ultra 320 SCSIコントローラの設計・動作検証の困難さから、チップ開発/製造リソースを優先して割り当てるべきAIC-7902一つに集中させる為に止む無く採られた経営戦略上の判断、と推測されるが、いずれにせよAdaptecの製品ラインナップとしてはいささか変則的な製品である事は否めない。

 そもそもシングルチャネルコントローラ+SpeedFlex技術による低コスト化をセールスポイントとしてきたAdaptecが、Ultra 320 SCSIカードの第一世代製品の一つであるこのカードに限ってその原則を崩したのであるから余程特別な事情があった筈で、そのせいかこのカードのインストラクションマニュアルは使用可能なSCSIチャネル数に関しての記述が非常に歯切れが悪く、同社の紹介ページでも何というか非常に微妙な表現に終始していた感がある。

 とは言え、それでも使用する側からすればこちらの構成の方がSpeedFlexによるLVD/SE混在構成よりも遙かに実用性が高い(混在環境と分離環境ではパフォーマンスの差が確実に存在するし、何よりSCSIチャネルの2ch化でID 0〜6の割当数が倍増するのは非常に有り難い)のは否定の出来ない事実で、実際筆者はそれあるが故にUltra 160 SCSIとUltra Wide SCSIの2ch構成をとるSYM21040-33や、Ultra 160 SCSI 2ch構成のASC-39160を愛用していた(39160については、筆者の場合片chをSE動作させてCD-Rドライブ等を大量にぶら下げて使っていた)訳だが、その観点からするとこの製品は筆者には最適のチョイスであった。

 なお、動作の方も非常に快適で、Ultra 320 SCSI+PCI-Xという構成の威力は絶大と感じられた。

 ちなみに後継であるASC-29320A-RではSpeedFlexによるLVD/SE混在1ch構成が復活しており、筆者の目にはスペックダウンと映るのだが、メーカー側にもその自覚があるのか、こちらの製品の使用可能SCSIチャネル数に関する記述はやはり微妙である(苦笑)。

 そんな訳で、このASC-29320-RとASC-29320A-Rの間の関係は、必ずしも「新型=改良型」ではないので特にご注意願いたい。


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