IOI-9100UW / IOI-Technology
インターフェイス:Ultra Wide SCSI (68pin SE 40MB/s) / Ultra SCSI (50pin SE 20MB/s) 転送モード:Bus Master Bus:PCI Rev.2.1 (32bit 33MHz 5V) SCSIコントローラ:INIC-950(940) / Initio 対応機種:PC/AT互換機・PC-9821シリーズ(要PC/AT互換機上での対応BIOS書き換え) 動作確認マシン/マザーボード:PC-9821Xv13/W16,GA-586HX2,MS-5164,GA-686BX,SY-6BA+
Initioが開発したPCI対応Ultra Wide SCSIカードであるINI-9100UWの台湾メーカー製同等品。
名前から推測出来る様に系列的にはINI-9100Jの改良版で、2チップだったコントローラが1チップ化されるなど、各部が改善されている。
これを出しているIOI-Technologyは一時期「Abaptek」なるパチモンめいたブランド名で製品を売っていた(すぐに改名したあたり、宣伝効果を狙った確信犯であった可能性が非常に高い)事が知られており、おかげでどうも怪しい雰囲気が漂っている(苦笑)のだが、別に製品自体に問題がある訳では無い。
性能的に見ると、この手のカードとしては定番のDC-390Fと比べても高速で、AHA-2940UW同等といったところか。
AHA-2940UWのお値段が当時バルクでも\22000〜\25000程度であった事を考えたら、\10000〜\15000程度というこのカードの実売価格は破格の安さではなかったろうか。
また、OSのサポート範囲もかなり幅が広く、特に発売当時現行品であったPC/AT互換機用OSで動かないのはSCSI非対応のTRON系位の筈だから、つまり実用上は何の問題も無いという事だ。
なお、IOI-9100UWの場合、カタログ上に記載された搭載チップは通常INIC-950なのだが、一部ロット(チップ表面にヒートシンクが張り付けられていた)についてINIC-940を搭載した製品があった。筆者がテストした範囲ではINIC-950搭載モデルと同じ挙動を示していたので、これは特に騒ぎ立てる程ではあるまい(無論、気味が悪いことは気味が悪いのだが)。
この製品のBIOSはICMの遺産を引き継いでいて、出荷時にはPC/AT互換機専用版が書き込まれているが、本家Initio及びIOI-Technologyのサイトで98/AT互換機両対応BIOS(但しメニューの日本語表示が少し怪しい)が公開・配布されていて、PCIスロットを備えたPC-9821シリーズでSCSIデバイスから起動可能に出来た(2005年4月1日現在、Initioのサイトでは98対応BIOSは公開されていないが、IOI-Technologyのサイトでは9100uwj.zipとしてVer.1.06Uが一応ダウンロード可能である)。
但し、PC-9821シリーズで使うにはまずPC/AT互換機上でBIOSを書き換える必要があり、おまけにその動作には、INI-9100J以来のASPIコマンド実装不完全問題などあれこれ不安定な部分が散見されたから、安定を求めるのであればAHA-2940UW(シールにAHA-2940UWJあるいはAHA-2940UWJAと記してある日本語リテールパッケージ版製品で、出荷時のBIOSのままのもの)の方が良い結果が得られる事は申し添えておく。
余談だが、このIOI-9100UWは製造時期によってカードの形態や色が目まぐるしく変わった事で知られており、筆者が入手していた時期のものは50ピン内蔵コネクタと68ピン内蔵コネクタを上下に平行に並べた、省スペースタイプの緑の基板を使用するタイプであったが、後半になるとリファレンスたるINI-9100UWやSIDE-2935UWに近いカードサイズの大きなものに変更され、最後期のモデルでは基板色が青色に変更されている。
この辺りの変更の理由は定かではないが、後になって発売された同じINIC-950を搭載する幾つかのメーカーのカードがこの最後期モデルと同様の特徴を備えている事から、これはIOI-Technologyが自社でハードウェア生産を手がけていない/あるいは後半は他社に生産委託する様になった事を示唆していると考えられる。
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