MZ-800

 96年の10月、MZ-MLにて「MZ-800のエミュレータがあるページを見つけた」との投稿がありました。そこはチェコの人のページだったのですが、チェコ語だけでなく英語のページもありました。昔よく使ったマシンであるMZ-800のエミュレータを作ったというところなのでしょうが、残念なことにサーバが動いておらず入手することはできませんでした。(後に入手することができました。後述)
 あ、一応説明しておきますが、MZ-800は海外(特に欧州)でのみ発売されたマシンです。ですから国内では中古を含めて一切取り引きされたことのないはずのマシンです。
 一度手に入りそうだと思ってかなわなければ未練に思うのが人の常(ホントか?!)、サーチエンジンでエミュレータのページをいろいろ探してみたものの結局見つかりませんでした。
 でも、どうせならエミュレータより本物の方がいいですよね。今度は単にMZ-800を紹介するようなページを探しました。すると、ドイツのサイトですが、自分のコレクションを並べているページを発見しました。よく見てみると、MZ-800を2台所有しているみたいです。「だったらひとつ譲って欲しいよな」とか思っていたらいわゆる「売ります・買います」のコーナーのようなページへのリンクを見つけました。そこを見てみると、なんとMZ-800が「売ります」に出ているではないですか。
 が、英語のメールの経験がなかったせいで少し逡巡しました。それに、まさに地球の反対側から「くれ」なんて言われても困るかもしれないとも思いました。経験のある人に代筆を頼み、しかも少し前にMLに投稿のあった「MZ-800のソフトがほしい」というアメリカ在住のロシア人に中継させようかとも考えましたが、結局私が11月の頭に直接メールを書いてしまいました。
 ところが、いつまで経っても返事が来ないのです。まぁ先方も忙しいことだってあるだろうと静かに待ってたんですけど、11月を終わっても返事は来ません。やっぱり極東の怪しい日本人の頼みは聞いてもらえなかったか、と思った矢先、ついにその返事はやってきました。
 なんでも4週間ほどバカンスだったとかで、12月になるまで私のメールは読まれてなかったんですね。で、私の「売ってほしい」という願いは「もちろんOK」。ただ、日本の古いパソコンやそのパーツ、ソフトなんかがあればそれと交換してもらえるとなお嬉しいんだが、というコメントもありました。確かに個人同士での送金は費用が高く、どうせなら品物の方が安くつきそうです。で早速秋葉原にて東芝のMSX2機を仕入れてきて、その旨を伝えました。
 私の「RGB端子はあるけど配列は不明」とのコメントには「自分で調べるから大丈夫」、「よってビデオ端子しかないんだけど、NTSCだよ」には「うちにはNTSCモニタがあるから完璧さ!」と答えられてしまいました。なかなかに質実剛健な人です。ただ、「等価じゃないと思ったらお金を追加するよ」とか「送料がわからないからもしそっちが高かったら払うよ」とかの呼びかけには「重量を同じくらいにすれば送料は相殺されるでしょう」と言われ、結局こちらはソニーのMSX2とソフト2本を追加することにしました。
 97年の1月末、MSXとソフト各2つずつを梱包して必死の思いで郵便局に持っていきました。重量は11kg、13000円かかりました。航空便にしようかと思いましたがその局で取り扱ってないのと、料金が安いのとで結局SALという区分(荷室に空きができたら載せられるやつらしい)で送りました。SALなのでいつ着くやらわからんな、と思ってたらなんと一週間で到着し、先方から喜びのメールが届きました。ちなみに送ったソフトはテトリスと三国志2。テトリスはわかるとして、三国志はマニュアルも画面も日本語だらけですが、どうせあげるならそういうやつの方がいいだろうと決めたものです。先方の友人に少し日本語がわかる人がいるらしかったのですが、さすがにその人にも処理しきれなかったみたいです。
 では肝心のMZ-800はというと、2月の第2週の土曜日に発送したというメールが2月下旬に届きました。一週間は短すぎるとしても、2〜3週間すれば届くかと思いましたが届かず、一月たって思い余って「まだ届かないよ、どうなったかわからない?」とメールを送りました。先方は「二ヶ月かかって届いた荷物もあるから心配するな」との返事。「一応こちらでも調べてみるけど…」とは書いてありましたが。
 果たして、8週間かかって4月の第一土曜にMZ-800は届きました。荷物の中には当時のパンフレットのコピーとサービスマニュアルが入っていました。サービスマニュアルはサービスマン用というよりハードウェアマニュアルのような内容です。昔あった「活用研究」とかいう本の元はこういうのだったんでしょうかね。しかし、ついてくるはずだった「ソフト」がなかったのでその旨をメールしたところ、「自分も使いたいので渡すわけにはいかない、でもコピーの方法がわからない」とのこと。コピー方法をメールで知らせましたが、それ以来音沙汰がありません。まぁ、先方もけっこうなまくらな人だったんでしょうね。
 さて、この一連のページでは本体の解説やコンセプトは控えて個人的な入手の経由やその後の拡張などを書くようにしているのですが、MZ-800だけはそうもいきません。なんせ国内でもOh!MZが85年1月号でモノクロ写真で紹介しただけですし、おそらく一人もユーザーはいないのではと思われるからです(国内には私の他に2人ばかりユーザーが存在することがわかりました)。
 まず最初の写真。左シフトキーに注目してください。二つのキーに分かれていますが、その左側が本来のシフトキー、分かれた右側がALPHAキーとなっていて、GPARHモードとかから復帰するキーになっています。では元の「英数」キーはというと、これがTABキーになっています。海外仕様機なのでカナは必要ありませんが、そのキー自体は存在します。キーのスキャンコードも同じです。ただしキートップに何も書かれてません。本体右にあるのがFDD,MZ-1F19なのですが、元々シングルドライブなのに増設し、しかも両ドライブ共純正ではありません。ちなみにFDD I/Fもサードパーティー製でした(FDDがVFO付きらしく、I/FにはVFOがありませんでした)。またFDDの上に乗っているのが電源ですけど、これはドイツの電源仕様(220V)になっている内蔵電源が使用できないためにつけているものです。とりあえずこれで日本国内で使用できるわけです。
 下の写真で見てもMZ-1500にそっくりですが、実は元々拡張バスコネクタのあるところにシステムスイッチとアタリ規格のジョイスティックが出ています。またACコンセント端子の下にプロッタプリンタのMZ-1P16用電源コネクタがあります。拡張バスが出てないということで1スロットしか使えないようなイメージがありますが、そのスロットにMZ-1E20という実は配線だけのI/Fボードを入れて信号を引き出し、MZ-1U06という専用I/Oボックスを接続することでスロットの数を増やします。ちなみに、内蔵スロットの他にRAMファイル用のスロットも付いています。
 システムスイッチですが、外部カセットの極性設定、プリンタのMZ/セントロ切り替えに加えて700/800モードというのもあります。これはそれぞれのモードでメモリや画面の設定が変化するためなのですが、マニュアルを見る限りこのスイッチはソフト的にチェックしているだけで実際には別のI/Oポートへの書き込みでモード移行をしているようです。というのも、これはモニタの初期設定ルーチンとマニュアルの記述によるものなのですが、ハード的には一旦800モードで起動するものの、IPLのメッセージ出力の都合で700モードに移行し、プログラムをロードした後システムスイッチに従って800モードに戻るかそのまま700モードとするかを選んでいます。
 さて、その700モードと800モードの違いをここで説明しておきましょう。

 ビットマップディスプレイということで画面表示の遅さが懸念されますが、CRTCにMZ-2500ばりの同時書き込みやハードウェアスクロール機能がサポートされているので思ったほどには遅くならないと思われます(でも800専用ソフトがないからまだわからない)。表示色が16色ですので出力はRGBIです。
 モニタROMはMZ-1500とよく似た構成で、FDとQDからのブートをサポートしています。内部ルーチンはいろいろ場所を入れ替わっていますが、まったくといっていいほど同じルーチンが実装されています。IPLや拡張モニタとしての他に、BASIC用のサービスルーチンも入っています。まだ解析途中ですが、おそらく文字表示やグラフィック関連のサブルーチンだろうと思われます。
 BASIC(MZ-2Z046)やP-CP/M(MZ-2Z047)といったシステムもシャープから純正品として発売されていたようです。さすがにHuBASICはなかったでしょうが…。
 今後の計画は、S-OS"SWORD"を800モードで動かすこと。できれば全てソフトで日本語(ってカナだけど)表示に対応させたいんですけど、無理かもしれないですね。CGだけは入れ替えないとだめかも。ただ、ハードスクロールができるなら漢字も対応させたいです。そこまでいくとかなり無謀ですけど、S-OS上ならJackwriteもあることだし、さらにMAGICも移植すれば(これがVRAMとアドレスが重なっててむつかしいんだわ)なんとかなるかな、と。ですから、まずはROMの解析が優先されるのでしょうな。


MZ-800のエミュレータについて

 MZ-800というのはMZ-700と並んで欧州では人気があったらしく、「最初のパソコンがMZ-800でした」とかいうホームページが多数あります。もちろんその思い出からエミュレータを作る動きはいくつかあるようです。とりあえず2つ見つかっています。

上記のチェコの人の作品です。どう交渉したのか、質問はしないとかいう条件でもつけたんでしょうかね、バイナリだけうまく手に入れたようです。英語版のDOSで動きますが、もちろんWindowsのDOS窓でも動きます。なぜかエミュレーション用にROMデータも添付されています。さらになぜか、テトリス(多分ルールを合わせた模造品)とフラッピー(多分本物)が添付されています。
Linux版MZ-700エミュレータを手本に、DJGPPで作っていたものを移植したもののようです。Linuxではsvgalibが必要ですが同じソースをCygnusCygwin32でコンパイルするとWin32環境で動作するものになります。ただ、まだ完全ではないらしくWin32でのパレットが変だったりします(MZ-700モードでのパレットが入れ替わっている、MZ-800モードでの4色モードの時暗い方の色になる)。こちらはROMを実機から吸い出す必要があります。

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