MZ-1200

 この一連のページをご覧になってくださった方から譲っていただきました。ソフト的にはMZ-80Cがあればほとんど問題ないんですが、唯一、画面の白黒を反転する機能が追加になっているのが入手を希望するポイントでした。本当はもうひとつ、ROMとRAMの入れ替えにも対応しているというのもあるんですが…。
 MZ-1200との出会いは1982年の大阪・天満橋にあるOMMビル(大阪マーチャンダイズ・マートビル)で行われたプライベートショウ、「MZフェア」でした。その時にはMZ-1200は発売済み、MZ-2000は未発売となっていて、会場ではMZ-1200を自由に触れるようになっていました。私も触って…と言いたいところですが、実際には小学生と思しき面々に占拠され、眺めるだけで精一杯。結局、壁際に並んだサードパーティの展示(これまでの製品がほとんどなので、MZ-80B中心)を見るくらいしかできませんでした。
 さて、最近になってMZ-1200とMZ-80Aについて、だんだん謎が明らかになりつつ、また深まりつつあります。所蔵品一覧のページにも書きましたが、今まで我々が「MZ-80AはMZ-1200を欧州仕様にしたものだ」と思っていたのが、どうもその逆ではないかという可能性が高まってきたからです。二枚目の写真の、背面はカバーで覆われていてしかも拡張コネクタが顔を出しているので普通のユーザーはそのまま使いますが、ここを取り去ってみると無意味な空間がバックリ口をあけます。拡張コネクタはこの空間を突き抜けるようにして顔を出していたというわけなのです。この空間の存在、そしてその構造はMZ-2000に酷似しています。しかもMZ-80Aの基板の拡張コネクタはカードエッジだということからして、ここにMZ-2000(MZ-1U01)そっくりの拡張I/Oボックス(しかも電源つき)が入ったのだろうということがほぼ間違いない事実だと考えられるのです。しかもよく見ると、右端に妙な丸い穴が二つあります。どう考えても丸DINの接続口を塞いだものです。では下部はMZ-2000と共用?いや、リセットボタンがひとつしかありません。MZ-2000にはIPLとそうでないリセットの二種類ありました。ということはわざわざMZ-1200またはMZ-80Aのために作ったものということになります。MZ-80A紹介ページでも外付けCRTについては何も触れられていません。ということは、少なくとも筐体設計時にはカラーグラフィックが計画されていたんでしょうか?
 …という件に関して、とあるBBSから情報を得ました。なんとカラー表示に関して、子基板を用いて外部に出力するようになっていたというのです。この写真は上の写真の丸穴のところを内部から覗いたものなのですが、その丸穴の手前に空間があります。それもただの空間でなくて、両端に突起物があり、さらに手前に張り出す形でツメがついているのです。これは明らかに何かを固定しようとしていた証拠。さらには、その張り出し部の下の基板には34ピンコネクタが取り付けられるような2列の穴がずらり…。
D7 D6 D5 D4 D3 D2 D1 D0 LOAD VIDEO *V.HBLNK SYNCH *HBLNK GND +12V GND +5V
A0 A1 A2 A3 A4 A5 A6 A7 A8 A9 A10 *WE *GT *CS *RD GND +5V

 その配列を調べてみましたので紹介します。並びは基板の上を拡張コネクタ・下をメモリとした場合のものです。"*"のついている信号は負論理です。一部回路特有の信号がありますので説明しておきます。

LOAD … キャラクタをCGROMから取り出して表示出力用のシフトレジスタに取り込むタイミングを示す。
VIDEO … ブランキング信号等によって非表示部分をマスクしたあとの、モノクロモニタに送り出す映像信号そのもの。
*V.HBLNK … 垂直と水平のブランキング信号の合成。
SYNCH … 水平同期信号。
*HBLNK … 水平ブランキング信号。
*GT … アトリビュートVRAMアクセス用データバスのゲート信号。
*CS … アトリビュートVRAMアクセス用チップセレクト信号。アドレスは$D800〜$DFFF。
A0〜A10 … 純粋なZ80のアドレスバスではなく、それと表示するVRAMのアドレスをMUXしたもの。つまりアトリビュートVRAMに書き込む時はそのアドレス、その他の場合は表示中のVRAMを表す。

 丸穴が二つあることから、カラーとモノクロの両方の出力を設けることになります。モノクロには上記のいくつかの信号をそのまま、あるいは論理反転して出力すればいいでしょう。カラーについてはアトリビュートVRAMを新設し、VIDEOのドットの代わりに色を出力すればいいはず。あ〜、なんだか作りたくなってきた。

 最後の写真、内部構造を見てもMZ-2000とよく似たところがいくつもあります。ですが、よく見るとどれをとってもMZ-2000と共用ではないんです。蓋を開けるとCRTは下に残りますし、キーボードが手前に撥ねあがるのは同じでもキーユニットの構造は違いますし、キーボードの支柱の数や固定方法が同じでも左と中央の支柱は一体化してますし、底板はスピーカの位置や足の構造がそっくりでもやっぱり別物です。昔は似ててもちょっと違えば別設計するほど、ぜいたくな作り方をしていたんですねぇ。
 あ、そうそう、MZ-1200ってよく考えたらカナインジケータがないんですね。モニタはSP-1002のままだし、どっちのモードかは押してみないとわからないじゃないですか。

 基板をMZ-80Aのものと比べてみると、拡張コネクタがカードエッジか延長+角コネクタか、という以外は違いがないですね。もう少しで早まってMZ-80Aを物色しようとするところだった…。


スペック

CPU Z-80(LH0080) 2MHz
ROM 4KバイトM-ROM(モニタ)、2KバイトCG-ROM(キャラクタジェネレータ)
RAM 32KバイトRAM標準実装(ボード上で最大48Kバイトまで拡張可能) 1KバイトV-RAM
CRT 10型グリーンフェイス
画面構成 40字×25行(1000文字)
文字構成 8×8ドットマトリクス
キーボード タイプライタフェイスメインキーボード
キー数 78キー
キー種類 ASCII準拠英・数字64種、カナ・漢字78種、グラフィックパターン62種
編集機能 上下・左右カーソルコントロール、ホーム、クリア、挿入、削除
カセットデッキ データ変換方式:シャープPWM方式、転送速度:1200bit/秒、標準オーディオカセットテープ使用
音楽機能 内蔵、音声出力 500mW MAX(可変)
時計機能 内蔵
リセットスイッチ 内蔵 (本体後部)
拡張I/Oポート 5ポート・本体外部に設置(オプション)
電源 AC100V±10% 50/60Hz、消費電力:約36W
使用条件 使用温度0℃〜35℃(保存-15℃〜60℃)
使用湿度80%以下
外形寸法 435(W)×480(D)×250(H)mm
重量 約10kg

背景

 記念モデルとはいえ、148000円という価格設定のMZ-80K2Eはなかなか好評でした。新規にパソコンに参入するメーカーもあり、乱戦の様相を呈し始めた業界の中では低価格路線を継続する必要が出てきました。ここで登場したのがMZ-1200です。MZ-1200は海外向けに「MZ-80A」として出荷していた機体を日本語化したもので、MZ-80K(後期)以来全く同じ設計であった各パーツは一新され、完全コンパチながら全く新しい印象を与えています。
 まず、キーボードがタイプライタフェイスに変更されました。この配列、見たことあるなぁとよく考えるとMZ-80Cと同一になっています。MZ-80Cでは右にあったグラフィックキーが5個×5列あったのですが、MZ-1200では1列足りません。その1列はフルキーの方にむりやり詰め込まれています。というか、MZ-80Aではごく普通に記号があててあったキーが、グラフィックキーに変わっているともとれます。
 内蔵しているCRTはグリーンにグレードアップされました。また、メインボードも設計が変更されて$0000〜$0FFFのROMと$C000〜$CFFFのRAMが交換できたり、$E800〜にROMが増設できたり画面の白黒反転モードがあるなどもちろん互換性を維持しながらいろいろな新機軸が試みられています。残念なのは互換性ゆえかこれらのフィーチャーが「隠し機能」扱いに等しかったことでしょうか。
 型番である「MZ-1200」の1200という数字はボーレートに由来していると思われます(シャープの人は否定していたらしいが)。

 1983年5月に登場し、メモリ以外はMZ-80Cかそれ以上のスペックであったわけで、かなりの人気を博しました。が、7月登場のMZ-2000がより注目されていたこと、11月により低価格でカラーが使用できるMZ-700が登場することで、いまいちメジャーにはなりきれなかったように思われます。


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